いじめ問題は、学校の中の人間関係で起きることがほとんどですよね。
問題解決のために担任の先生に協力をお願いすることになりますが、先生と子どもの関係が良ければ、解決に向けて対応しやすいことは言うまでもありません。
ただ「担任」とはいえ、1人で30人から40人の子どもを見ているわけです。
まして中高生になると教科ごとに先生が変わるため、担任の先生と子どもの接点はかなり減り、一人ひとりと密な人間関係を築くことは難しいと思います。
いじめが起きると、そのような関係性の状態で担任の先生が中心となって、子ども達に話を聞くことになります。
当然のことですが、私たちはどんな人なのかよくわからない相手に、自分のことはあまり話さないですよね。
それは子どもも同じです。
「いじめ」という被害生徒にとっても加害生徒にとっても、最も触れられたくないことについて話を聞いていくためには、
「この人なら話しても大丈夫」
という安心感がとても重要になります。
子どもが安心して話せる人でなければ、子どもに負担がかかる上に事実を話してもらえずに実態が見えてこない可能性があるからです。
話の聞き取りだけではありません。
子どもの日常を取り戻していく段階でも、この「安心感」が前進する力になります。
このように、いじめ問題の解決の大きなポイントは、関わる大人と子どもの「信頼関係」にあります。
今日は先生との「信頼関係」について、いじめ問題の解決後、息子が話してくれたことをシェアしたいと思います。
息子は当初、「友人関係」については話したがらず、当然ながら「いじめ」というワードを出すこともできない状況でした。
話を聞くことができなければ、解決に向けて対応していくことは難しいですよね。
私達家族はどのように進めていこうか、と頭を悩ませていました。
そこで、先生から、
「外部のカウンセラーなどに聞いてもらうのはどうですか?」
「もちろん私で良ければ聞きますよ」
とお話がありました。
そのまま息子に伝えたところ、
「どうしても話す必要があるなら、担任の先生に話す」
と答えました。
息子と担任の先生の関係は、いじめ問題が起きる前はごく普通の「担任と一生徒」という関係だったそうです。
それでも、話す相手を「担任の先生」と息子が決めたのには理由がありました。
普段の1対1のコミュニケーションの際(個人面談など)に、緊張する雰囲気ではなくリラックスして話せる先生だったから。
どうしても…というなら「先生に話す」と思ったとのこと。
そして、少しずつ先生との信頼関係を築き、一歩ずつ前進できた理由もいくつかありました。
「先生は全力で対応してくれいていたのがわかった」
「学校や先生のことより、オレのことを考えてくれていた」
「オレのペースに合わせてくれて、焦らすことがなかった」
「いろんなことを提案するのではなく、オレが『やる』と言ったことができるようにしてくれた」
「ハードルを下げる提案をしてくれた」
このようなことを話してくれました。
子どもは、私達が思っているよりずっと大人のことを見ているんですね。
息子の話は、日頃のコミュニケーションの大切さ、そして担任の先生との信頼関係が少しずつ彼を前進させてくれたことを教えてくれるものでした。
近年、学校の先生は多忙で生徒一人一人と向き合う時間がない、授業の準備をする時間がない、などと取り上げられていますよね。
そんな中でも、できる限り時間をつくり息子と向き合ってくれた先生の存在は、息子だけでなく、私達家族にとっても大きなものでした。
いじめは複雑で難しい問題ですが、関わる大人と子ども、そして大人同士の「信頼関係」が解決に向けて大きく前進させてくれるものだと思います。